兼題「案山子」 NHKカルチャー 2019/10/10(木)2019年10月12日 14:05

 強い台風19号が関東地方を直撃しようかと接近中のこの日でしたが、いかにも爽やかな秋の好日という風情でした。参加者は20名。久しぶりの句会を楽しみました。(この記事を書いている12日昼、神奈川県でも川沿いの地区等に避難勧告が出され、台風上陸が予報されている夕方以降、どんな被害が出るかと心が縮む思いです。)この日の私の投句は次の3首でした。 

 青空や案山子一人が君臨す

秋-案山子 この句は、お一人の方から並選を頂きました。紗希先生は、<君臨す>という表現は存在感があるが、<一人>と並ぶと弱くなると指摘されました。私としては<一人>が<君臨>しているという所に軽い諧謔味を利かせた積りでしたが、難しいですね。また、案山子に<青空>というのはよくある発想なので、例えば<夕空や>等はどうかということでした。

 照らされて闇夜に浮かぶ案山子かな

秋-案山子 この句も、お一人の方から並選を頂きました。ただ、なんで<照らされて>いるんだというところで、他の方の句にあったように案山子フェスティバルでもやっているのだろうかと、話が作者の思わぬ方向へ行ってしまいました。作者としては照明は何の照明でもよかったのですが、一応懐中電灯の光をイメージして作ってあります。また、<浮かぶ>はありきたりだから、<白し><白き>等の方がいいのではないかと紗希先生から指摘されました。

 いつの間に雨になりたる子規忌かな

秋―子規忌 この句は、紗希先生から並選を頂きました。「いい句」だと批評していただきました。ただ、<雨になりたる>ではなく、<雨となりたる>とした方が格調があると指摘されました。この句は、<子規忌>という言葉の持つイメージから発想したもので、作者の実際の経験を詠んだものではありませんが、子規には似つかわしいと評して頂きました。

兼題「栗」 火星句会 2019/10/15(火)2019年10月17日 10:46

 台風19号が東日本を駆け抜けた12日(土)の夜が明け、徐々に未曽有の水害の様子が明らかになってきた15日(火)、恒例の火星句会が開かれました。紗希先生初め参加者23名は互いの無事を喜び合いましたが、普段よりも少し参加者が少ないのが気掛かりでした。皆さんのご無事を祈りながら、句会はいつものように始まりました。今回の私の投句は以下の3首です。

雨の夜今年限りの栗届く

秋-栗 この句は、2名の方から特選を頂きました。また紗希先生からも(特選にしようかと思った)並選を頂き、「いい句」だと評して頂きました。栗を送った人、受け取った人の気持ちを感じることができる。雨の夜と栗というのが、心に沁みる。<今年限り>になった状況が感じられる等、好意的に読んで下さいました。また、紗希先生は<雨の夜>で始まる句は初めて(?)だとか仰っていました。雨の夜というのは作者の創作ですが、兄から、栗を送るのは今年で最後にするよという電話があった時のことを思い出して作った句です。

栗飯をよそふ笑顔のお袋よ

秋-栗飯 句としてはしっかり出来ているが、皆が詠んでいて類想が多い。<栗飯><笑顔><お袋>と来れば、最大公約数的な光景が出来上がる。「私」の光景を詠んでほしいということでした。ですが同時に、「私」の光景がまさにこれだった時にはどうすればいいの?という課題も仰っていました。作者としては、多分類想が多いとは思いましたが、素人のずうずうしさで、へろっと詠んでみた句なのでした。

コスモスや健気に揺れる午後の庭

秋-コスモス 上5・下5はいいが、中7はそっくり入れ替えねば。だってコスモスは健気に揺れるものと決まってますから、と言われた時にはびっくりしました。<健気に>揺れるというのは、私の頭を絞ってやっと出て来た表現だったからです。けれども、これが素人の限界と言うやつなんでしょうか、あっさりダメ出しされてしまいました。

 

  神野紗季先生の出版予告がありました。書店でお買い求め下さい。

 エッセイ集『もう泣かない電気毛布は裏切らない』日本経済新聞

 評論集『女の俳句』ふらんす堂

 ※俳句に登場する女性についての論評だそうです。