兼題「冬近し」 オンライン金星句会 2023/11/07(火) ― 2023年11月11日 10:40
「ガザ保健省の発表では、8日までに子ども4324人を含む1万569人が死亡した。行方不明者は7日までに子ども1350人を含む約2450人としている。」(朝日新聞11月9日朝刊)水道、電気、燃料、食糧を止められたガザ地区は兵糧攻めにあっている訳ですが、日本の戦国時代、兵糧攻めは最も残酷なやり方であるとされていました。周囲を壁で囲んで勝手に移動できないようにしてあり、陸・海・空軍が思うように爆撃するのですから、これはもう虐殺としか言えません。ガザ市中心部に侵攻したイスラエル地上軍は、人質の解放よりもハマスの壊滅を優先させているようです。
リセットは出来ぬぞガザの虐殺は
この句は、お一人の方から並選を頂きました。 私達の人生において、リセット出来るものと言えばゲームやPC等がありますが、そんなにはありません。人生の一回性と言って、同じことは二度と起こりません。ところが、イスラエル軍は人生何度でもやり直しがきくとでも思っているのか、女性や子供たちでも平気で殺してゆくのです。殺したものは生き返らんのやで、分かってるんか~!?というのが句の趣旨です。無季の句ですが、この場合はそれでいいと紗希先生のお言葉。句の内容には100パーセント賛成しますが、詩的想像力が欲しいとも。
冬近し白富士遠くビルの間に
秋-冬近し この句は紗希先生も入れて2名の方から並選を頂きました。<情景の確かな描写力に惹かれます>とは、お一人の方のお言葉。紗希先生からは、(遠く)ではなく、(小さく)の方がよいとアドバイスを頂きました。
夜長かな作句する夜の独り言
秋-夜長 この句は「夜」-「夜」とあるのがいけないと言われました。私としてはよ-よとリズムを作っているつもりでしたが、どうもよくなかったようです。
次回の予定
12月12日(火) オンライン金星句会 兼題『鯛焼』
兼題「蟷螂」 オンライン金星句会 2023/09/12(火) ― 2023年09月17日 08:12
9月も12日だというのに、猛暑の日が続きます。電気代も高騰する昨今、クーラーの効いた部屋にいても、何となく落ち着きません。それでもネットの金星句会に集まった16人、神野紗希先生は変わらずに元気だし、だんだんと句会の渦に巻き込まれてゆくのでした。
蟷螂やメスオスを食ふ交尾して
蟷螂の遺伝子に住む悪魔かな
蟷螂よ少女の肩でうれしいか
<少女の肩にいる蟷螂が嬉しそうに見えたという作者の感覚が新鮮で愉快。既視感の無い蟷螂の句>
秋―蟷螂(とうろう) 3句目に、お一人の方から並選を頂きました。また、<>内のような批評も頂きました。ありがとうございます。
この3句は、一応連作俳句として作ったものです。連作俳句というのは、新興俳句の時代に、俳句の中に時間制を表現するとか言うことで盛んに作られたものらしいですが、この3句に限っては、その手法が十分に効果を発揮するには至らなかったもののようです。連作俳句にする意図や狙いも曖昧なままでした。しかも単独の句としては、弱い句になっています。
紗希先生からは、句が説明になってはいけないと注意されました。俳句が最短の詩であると言われる以上、もっと詩的な空間を作ってゆかねばならないのでしょう。しかし、世の中には散文詩と言うものもありますし、何が詩的であるかと言うと、少し難しい話になってしまいそうです。
次回の予定
10月10日(火) オンライン金星句会 兼題『秋思』
兼題「立秋」 オンライン金星句会 2023/08/22(火) ― 2023年08月24日 09:51
当初予定されていた8日(火)が、先生のご都合で22日に変更されて、都合のつかない人も出るかと心配されましたが、16名の参加でした。先生は俳句甲子園の仕事もあって松山に帰省中でしたが、オンライン句会ですので何の支障もなく、いつものように始まりました。
秋立つ日竜田姫まで手紙書く
秋-秋立つ この句は紗希先生も入れて、2名の方から並選を頂きました。
<竜田姫に御挨拶をして、御機嫌伺い。今年の秋は、どのような情景をみせていただけるのでしょうか。心待ちです。>と読んで下さった方がいらっしゃいました。ありがたいことです。ですが、この句は次の句と一緒に読んでこそ作者の狙いを十分に理解して頂けるものなので、句会では一寸言葉に窮してしまいました。
彼の国も秋になりしか烈火弾
秋-秋 この句は、前の句にある「手紙」の内容という設定(見立て)になっています。「彼の国」とはウクライナで、「烈火弾」とはクラスター爆弾という見立てです。ですが、彼の国がロシアと読み取っても一向に構いません。烈火弾(クラスター爆弾)という非人間的な恐ろしい武器が使われる戦場にも、秋は来たのでしょうか。竜田姫さま、どうぞ教えてください、といった程度の意味です。
蚊のごとく群がりおるぞ原爆忌
夏-原爆忌 この句は1名の方から並選を頂きました。もうどの位前の話だったかも思い出せないほどの以前に、ある記事を読みました。それは、蚊が決まった時期になると湧いて出るように、原爆反対とか言っても普段は何もしないでいて、毎年同じ時期に同じようなことをやっている。特にマスコミはそれが顕著で、それでいいのだろうか、といったような内容でした。それはもう全くその通りで、G7の首脳陣が平和記念公園へ行ったと言っても、何もしゃべらないし(アメリカ大統領が被爆者に一言ソリ―と言うだけで大変なことになる)、資料館でもほとんど何も見なかったようです。(カナダ大統領だけ後からじっくりと見学しましたね)、そういう形だけの取り組みは、もう終わりにしなければいけませんね。
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9月12日(火) オンライン金星句会 兼題『蟷螂』
兼題「風薫る」 オンライン金星句会 2023/05/09(火) ― 2023年05月11日 15:55
皆さんは、今年のゴールデンウイークいかがお過ごしだったでしょうか。私は特にどこへ行くということもなく、自宅でのんびり過ごしました。それは私が年金生活者だからという訳ではなく、若い頃も特にどこかへ出かけたという記憶はありません。
そんな私ですが、ベストセラーの本二冊を読みました。まず、村上春樹さんの「街とその不確かな壁」。1200枚の長編小説ですが、意外にすらすらと読め3~4日で読了しました。私と村上春樹さんとは(学年は私の方が1年上ですが)同年生まれです。同じ世代の人間として言わせてもらえば、精力減退気味なのが残念な物語でした。実際はどうかということはともかく、性的にもっといってほしいと思いました。二冊目は、梅沢富美男さんの句集「一人十色」。梅沢さんは、もうそろそろ夏井先生の元を離れて、俳人として独り立ちしても良い頃だと思いましたね。二冊目の句集でそれを実現してほしいと思いました。
さて、今回の参加者は15名。いつも20数名の参加者でしたが、今回はなぜか減少しました。それはともかく、私も句会のルールに従って3句投句しました。けれどもここに掲載できるのは、下の1句だけでした。
ビオラの音かすかに洩れる夏館
夏-夏館(なつやかた) この句は紗希先生も入れて3名の方から並選を頂き、下のような感想を頂きました。
<軽井沢とかの音楽家の別荘を思い浮かべました。涼しげな館からかすかに聞こえて来るビオラの音が涼しそうです。>
初めはあけ放った夏館から、直接音が洩れ出ていると言った光景も思い描いていたのですが、それだと昭和初期のお話になってしまいますよね。やはり冷房完備の部屋で弾いているとした方がいいようです。
<夏館からかすかに洩れるぐらいの音で、バイオリンではなくてビオラだとわかる、という状況を設定されたお話が伺いたいです。なかなか神秘的な感じもします。>
最初はピアノの音でイメージしていたのですが、それだとありふれた光景になってしまいますから、ビオラの音に替えました。神秘的な感じもしてきますよね。
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6月13日(火) オンライン金星句会 兼題『蛍袋』
兼題「しらす干」 オンライン金星句会 2023/04/11(火) ― 2023年04月14日 10:49
紗希先生の句会では、講評の前に、兼題を詠んだ名句解説があるのですが、この日の兼題「しらす干」を詠んだ句が殆どないことに驚いたそうです。配布された資料には8句載っていましたが、これが見つかった句の殆ど全部だそうです。歳時記の編者は、どうやって例句を探しているのでしょうね。
さて、この日の参加者は21名。いつものように私も3句投句しましたが、ここに掲載できるのは下の2句だけでした。
しらす干卵にとじて朝が来る
春-しらす干 この句は紗希先生から並選を頂きました。最後を「来る」にしたのが一寸した工夫であったと思います。試しに「来た」とすると、句の味わいが乏しくなるように思いますがいかがでしょうか。
ちなみに、今回の兼題「しらす干」を頂いてから、作句のために色々料理を作ってみたのですが、ご飯に鰹の削り節をかけ、さらにしらす干をかけて醤油をたらし、最後にハサミでカットした味付け海苔を振りかけて食べるのが、私のこのところの毎朝の通例になっています。これだと、胃の2/3を切った私にも、さらりと食べやすいのですね。さらに卵の黄身をかけると完璧だと思いますが、そこまではやっていられないというところです。
夜に目が光ると言ふよしらす干
春-しらす干 この句はお一人の方から並選を頂きました。
<本当にそうかも知れないと、思わせるような、不思議な魅力のある句です>
<小魚だからこそ、そういう感じがします>
という講評を頂きました。
幼児二人が(或はもっと多人数でもいいですが)、会話している場面を思い描いてください。そして一人が、今日仕入れて来た知識を披露しているわけです。この句はホラーなどではなく、むしろ子供の純真性を表している句だと言えましょう。話しているのが大人だとすると、はなからそんなことはあり得ないと受け止めてしまうでしょうから。
次回の予定
5月9日(火) オンライン金星句会 兼題『風薫る』
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