兼題「雪解」NHKカルチャー 2020/02/13(木)2020年02月15日 12:08

今回の兼題は「雪解」。これには困りました。私は高校卒業まで広島で、それから東京、神奈川と暮らして来た人間ですから、雪国の生活を知りません。たまにテレビで見る程度です。俳句は何しろ自分の実感、実生活から作られたものが強いです。観念的に頭で作ったものはどうしても弱い。けれども句会に参加する以上は、仕方がありません。句会は一種の言葉遊びの世界とも言えるので、無理にでも一句は作って持参しなければなりません。こんな言葉があるのかどうか知りませんが、「創作句」になります。

そんな次第でしたが、今回の句会で特に気を付けたことは、一茶の句 <雪とけて村一ぱいの子どもかな> の類想句にならないことでした。今回の私の投句は次の3首になります。

雪解やペットボトルが顔を出す

春-雪解 この句は、私としては意外なことに、特選と並選をそれぞれ1名の方に頂きました。テレビの報道番組で、外国の観光客のマナー違反を扱っていて、道端に捨てたペットボトルがたちまち雪に埋もれてしまうというような内容でした。そのペットボトルが、春になって雪解けと共に顔を出すというのは、完全に頭で作った句ですから、まさか特選に選んで下さる方がいらっしゃるとは思いもしませんでした。下5は擬人化した表現だが、もっと即物的な表現にした方がいいというご意見も頂きました。

雪解かな掬びし水の流れくる

この句は、紀貫之の古今和歌集の歌、<袖ひちて むすびし水の こほれるを春立つけふの 風やとくらむ>を本歌とした、少し俳味がかった本歌取りの句として作ったつもりでしたが、紗希先生のご見解としては、これでは本歌取りにはならないということでした。確かに、貫之の歌では春風が氷を解かしているだろうかとなっているのに対して、句では水が流れているとありますから、やや違っています。私としては、そこが軽い俳味のつもりだったのですが。

水跳ねて車行き交ふ雪解道

この句は、紗希先生が並選で採って下さいました。「いい句」だとお褒めの言葉も頂きました。「雪解道」よりも、「雪解光」の方がいいとも。けれども、何しろこの句も頭で作った句ですから、作者としては感謝申し上げるのみなのでした。

次回掲載予定 3月24日(火)兼題「春の星」火星句会


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