兼題「立秋」 オンライン金星句会 2023/08/22(火)2023年08月24日 09:51

当初予定されていた8日(火)が、先生のご都合で22日に変更されて、都合のつかない人も出るかと心配されましたが、16名の参加でした。先生は俳句甲子園の仕事もあって松山に帰省中でしたが、オンライン句会ですので何の支障もなく、いつものように始まりました。

 

秋立つ日竜田姫まで手紙書く

秋-秋立つ この句は紗希先生も入れて、2名の方から並選を頂きました。

竜田姫に御挨拶をして、御機嫌伺い。今年の秋は、どのような情景をみせていただけるのでしょうか。心待ちです。と読んで下さった方がいらっしゃいました。ありがたいことです。ですが、この句は次の句と一緒に読んでこそ作者の狙いを十分に理解して頂けるものなので、句会では一寸言葉に窮してしまいました。

彼の国も秋になりしか烈火弾

秋-秋 この句は、前の句にある「手紙」の内容という設定(見立て)になっています。「彼の国」とはウクライナで、「烈火弾」とはクラスター爆弾という見立てです。ですが、彼の国がロシアと読み取っても一向に構いません。烈火弾(クラスター爆弾)という非人間的な恐ろしい武器が使われる戦場にも、秋は来たのでしょうか。竜田姫さま、どうぞ教えてください、といった程度の意味です。

 

蚊のごとく群がりおるぞ原爆忌

 夏-原爆忌 この句は1名の方から並選を頂きました。もうどの位前の話だったかも思い出せないほどの以前に、ある記事を読みました。それは、蚊が決まった時期になると湧いて出るように、原爆反対とか言っても普段は何もしないでいて、毎年同じ時期に同じようなことをやっている。特にマスコミはそれが顕著で、それでいいのだろうか、といったような内容でした。それはもう全くその通りで、G7の首脳陣が平和記念公園へ行ったと言っても、何もしゃべらないし(アメリカ大統領が被爆者に一言ソリと言うだけで大変なことになる)、資料館でもほとんど何も見なかったようです。(カナダ大統領だけ後からじっくりと見学しましたね)、そういう形だけの取り組みは、もう終わりにしなければいけませんね

 

次回の予定

912日(火) オンライン金星句会     兼題『蟷螂』

兼題「ヨット」 オンライン金星句会 2023/07/11(火)2023年07月16日 09:56

下に掲載の二句は無点句です。無点句というのは、選句で誰からも採られなかった句のことです。このブログでは、並選や特選を頂いた句を中心にアップして、無点句は基本的に掲載して来ませんでした。とは言え、何度か句会に参加すれば分かることですが、いつも特選や並選を頂ける訳ではありませんから、誰からも採られなかったという経験は、普通にだれにでもあることだと思います。

しかしそもそも、なぜ私がこのブログを始めたのかと言えば、なるべく多くの人に私の作品を読んで頂くためなのでした。それなのに、句会で採ってくれる人が誰もいないからと言って、自分で作ったこのブログに自分から掲載しないと言うのは、はなはだしい勘違いだと言えましょう。

という訳で、今回から、句会で投句した三句は必ず毎回掲載してゆきますので、よろしくお願いいたします。コメント欄のご記入も是非是非お願いします。

江の島や身を投げ出してヨット行く

海の色風の道見て行くヨット

夏-ヨット 紗希先生の兼題選びは、だんだんと難しくなってきたようです。ヨットと言えば、夏の季語にふさわしく、すぐにでもいくつか句が出来上がるような気がしますが、とんでもありません。私(たち)が持っているヨットのイメージは、そのほとんどが映画やテレビでつくられたもので、実際にヨットに乗ったり目の前で見たりした経験の持ち主は、どれほどいることでしょう。ふわふわした、いつの間にか作られたイメージで俳句を作ることは出来ません。困った時のYouTube頼みで、ヨットレースの映像等いくつか見ましたが、出来上がりはこの二句が精一杯でした。紗希先生からは<もう一味>欲しいと言われましたが、その一味が難しいんですよね。

梅雨寒や庭の椿を抜根す

夏-梅雨寒 この句は、紗希先生から並選を頂きました。今年の春、大きくなり過ぎた椿を抜根したのですが、それを梅雨寒の夏のこととして、私の心象風景としたものです。なお紗希先生によれば、抜根という語は俳句の世界ではまだ余り使われていないということでした。

 

次回の予定

88日(火) オンライン金星句会   兼題『立秋』

兼題「風薫る」 オンライン金星句会 2023/05/09(火)2023年05月11日 15:55

皆さんは、今年のゴールデンウイークいかがお過ごしだったでしょうか。私は特にどこへ行くということもなく、自宅でのんびり過ごしました。それは私が年金生活者だからという訳ではなく、若い頃も特にどこかへ出かけたという記憶はありません。

そんな私ですが、ベストセラーの本二冊を読みました。まず、村上春樹さんの「街とその不確かな壁」。1200枚の長編小説ですが、意外にすらすらと読め3~4日で読了しました。私と村上春樹さんとは(学年は私の方が1年上ですが)同年生まれです。同じ世代の人間として言わせてもらえば、精力減退気味なのが残念な物語でした。実際はどうかということはともかく、性的にもっといってほしいと思いました。二冊目は、梅沢富美男さんの句集「一人十色」。梅沢さんは、もうそろそろ夏井先生の元を離れて、俳人として独り立ちしても良い頃だと思いましたね。二冊目の句集でそれを実現してほしいと思いました。

さて、今回の参加者は15名。いつも20数名の参加者でしたが、今回はなぜか減少しました。それはともかく、私も句会のルールに従って3句投句しました。けれどもここに掲載できるのは、下の1句だけでした。

ビオラの音かすかに洩れる夏館

夏-夏館(なつやかた) この句は紗希先生も入れて3名の方から並選を頂き、下のような感想を頂きました。

<軽井沢とかの音楽家の別荘を思い浮かべました。涼しげな館からかすかに聞こえて来るビオラの音が涼しそうです。>

初めはあけ放った夏館から、直接音が洩れ出ていると言った光景も思い描いていたのですが、それだと昭和初期のお話になってしまいますよね。やはり冷房完備の部屋で弾いているとした方がいいようです。

 夏館からかすかに洩れるぐらいの音で、バイオリンではなくてビオラだとわかる、という状況を設定されたお話が伺いたいです。なかなか神秘的な感じもします。

最初はピアノの音でイメージしていたのですが、それだとありふれた光景になってしまいますから、ビオラの音に替えました。神秘的な感じもしてきますよね。

次回の予定

613日(火) オンライン金星句会   兼題『蛍袋』

兼題「しらす干」 オンライン金星句会 2023/04/11(火)2023年04月14日 10:49

紗希先生の句会では、講評の前に、兼題を詠んだ名句解説があるのですが、この日の兼題「しらす干」を詠んだ句が殆どないことに驚いたそうです。配布された資料には8句載っていましたが、これが見つかった句の殆ど全部だそうです。歳時記の編者は、どうやって例句を探しているのでしょうね。

さて、この日の参加者は21名。いつものように私も3句投句しましたが、ここに掲載できるのは下の2句だけでした。

 

しらす干卵にとじて朝が来る

春-しらす干 この句は紗希先生から並選を頂きました。最後を「来る」にしたのが一寸した工夫であったと思います。試しに「来た」とすると、句の味わいが乏しくなるように思いますがいかがでしょうか。

ちなみに、今回の兼題「しらす干」を頂いてから、作句のために色々料理を作ってみたのですが、ご飯に鰹の削り節をかけ、さらにしらす干をかけて醤油をたらし、最後にハサミでカットした味付け海苔を振りかけて食べるのが、私のこのところの毎朝の通例になっています。これだと、胃の2/3を切った私にも、さらりと食べやすいのですね。さらに卵の黄身をかけると完璧だと思いますが、そこまではやっていられないというところです。

 

夜に目が光ると言ふよしらす干

春-しらす干 この句はお一人の方から並選を頂きました。

本当にそうかも知れないと、思わせるような、不思議な魅力のある句です>

<小魚だからこそ、そういう感じがします>

という講評を頂きました。

幼児二人が(或はもっと多人数でもいいですが)、会話している場面を思い描いてください。そして一人が、今日仕入れて来た知識を披露しているわけです。この句はホラーなどではなく、むしろ子供の純真性を表している句だと言えましょう。話しているのが大人だとすると、はなからそんなことはあり得ないと受け止めてしまうでしょうから。

 

次回の予定

59日(火) オンライン金星句会   兼題『風薫る』

兼題「春の土」 オンライン金星句会 2023/03/14(火)2023年03月16日 08:41

昨年は胃がんの手術等、コロナ禍でもあり、大変な思いをしました。幸い手術は無事に終わりましたが、(パーキンソン病もあって)体調がイマイチなところがあり、とりあえずオンライン句会に参加させていただくことにして、今年の1月から金星句会に参加させて頂きました。ブログには2月分が掲載されていませんが、句会にはちゃんと参加しています。ただ、このブログには全ボツにしました。どうもよくありませんでした。 

投句は、季語が兼題のもの1句必ず。季語を自由に作っていいもの2句。選句は特選1句に並選3句。(ただし紗希先生は何句でも可)ということになっています。この日の参加者は20名。私も参加していますが、この日初めて紗希先生から特選を頂きました。

 

山笑ふ沖にクジラは群をなし

春-山笑ふ この句は紗希先生も入れて2名の方から特選を頂きました。紗希先生からは並選は何度か頂いていますが、特選は今回が初めてではなかったでしょうか。<よしよし!>といった感じですね。 

    <体を海面に出し潮を吹いているクジラの群れが海から突き出した山のようです。陸地の山は笑い、海の中の山は潮を吹き、とっても春らしい景だと思います。>

この評は、紗希先生以外のもうお一人の方から頂いたものですが、的確に句の要点を指摘されています。 

紗希先生からは、山と海のこの取り合わせは新しい。大きな俯瞰する目で、無理なく、朗らかに詠んでいると評を頂きました。 

この句を作った後、たまたま見たテレビ番組で、沖縄の海で実際にこのような光景があるということを放映していました。元々は私のイメージから生まれた句なので、それが実際にあり得ることであるかということはどうでもよい事なのですが、それでも一寸安心している私がいるのでした。 

次回の予定

4月11日(火) オンライン「金星句会」 兼題『白子干』