兼題「陽炎」 オンライン「火星句会」 2021/04/20(火)2021年04月22日 10:07

コロナ禍によって火星句会が二か月休止になり、0次のオンライン「火星句会」を経て、第一回オンライン「火星句会」が実施されたのが2020/06/16(火)のことでした。その頃は、まさかこんなにコロナ禍が続いているとは思いませんでしたが、幸いにも神野紗希先生を始め、皆さんコロナにかかるのだけは免れたみたいで、月の句会がしっかり続いているのは頼もしい限りです。

今月の参加者は24名(72句)。私も3句投句しましたが、ここに掲載できるのは下の一句だけでした。


ミャンマーの銃弾陽炎を貫く

春-陽炎(かげろう) この句は、紗希先生とお一人の方から並選を頂きました。お一人の方からは<陽炎を貫くという表現に、痛ましい現実を感じました。>という感想を頂きましたが、<貫くのが陽炎でいいかわからないので教えてください。><想像だとしても苦しい景だと思います。>といった疑問・質問も頂いていて、それには紗希先生が答えて下さいました。

 <リアル>とは

これはミャンマーと向き合った句だと思う。リアリティという物差しでは計れない。難しいところ。リアルに詠むことが逆にリアルじゃなくなる。新興俳句時代の「戦火想望俳句」がそうだった。

複雑な現象を詠むためにはリアリティだけではない。「陽炎を銃弾が貫く」という一種詩的な表現は力を持っている。

陽炎は貫けるものではないし、それを貫いたとしても何なんだと、しかし実際にはたくさんの命が銃弾によって奪われているという現実がある。それでは現実をそのまま書いたらいいのかと言うと、実際に戦地に行った人は象徴性をもって詠むという所があって、複雑な現実を表現するためには、リアリティだけではない何かが必要である。その時、陽炎を銃弾が貫くという詩的な表現は、私は力を持っていると思う。

沢山の命が奪われている現実を見据えた、非常に誠実なものを持っている句だと思う。 

作者が名乗りを上げる前にこれだけの批評を頂いて、嬉しかったです。

〇次回の火星句会 5月18日(火)オンライン 兼題「パセリ」

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